竹光侍
2008/11/19(Wed)
ピーチカ師匠の買ってきた、松本大洋「竹光侍」を3巻まで読む。
松本大洋はデビューした頃からファンで、近作は遠ざかってたが
「青い春」「ZERO」と「ピンポン」はまだ単行本を持ってる。
で、竹光侍だが、やっぱこの人はすごいなあ。やられた。こんなおもしろい
マンガがあったのか。まるで江戸の風俗画が動いているかのような世界観。
作風の変化というか進化に驚いた。
冬野さほさんと結婚してるのが大きいのか、それとも絵本作家の母親の
血が騒ぐのか。最小限の腺で最大限の効果を生み出している。
凡百のマンガ的文法からはまず生まれないカット、抑制された台詞回し。
静と動のコントラスト。もうここまできたら「文芸作品」っつっても誰も
文句言わないような気がする。
ひとコマひとコマ、味わうようにゆっくりと、しかし熱中して読み進んだ。
あした帰りに4巻と5巻買って帰ろう。ですぐ読もう。コミックスの次の巻
を早く読みたいワクワク感を久しぶりに味わって幸福だ。

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森達也+姜尚中「戦争の世紀を超えて」読書中。
DVDで「明日に向かって撃て!」を観る。ポールニューマン最高。

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「闇金ウシジマくん」を読め!!
2008/04/01(Tue)
コミック「闇金ウシジマくん」が大変なことになってきている事についてお伝えしたい。
10日で5割の「トゴ」や、1日で3割の「ヒサン」のむちゃくちゃな暴利で金を貸す闇金融の
ウシジマと、そんな金利でもカネを借りに来る、パチスロに狂う主婦やブランド買いのOLなどの
「どうしようもない奴ら」の織り成す人間模様。始まった当初は、そういった闇金を取り巻く実態や
「うわ~、闇金にはまるって怖え~」的な内容、ヤクザや町のギャングとの闘争が中心だったが、
単行本6~7巻の「フーゾク君」あたりから、作品は焦点をシフトし始める。編集サイドが
かなり取材に協力していると思われるのだが、要するに、「この人物が、闇金からカネを
借りなくてはならなくなった背景は何か」とか、「だいたいカネって何だ」とか、「そもそも人間って
なにをもとめて生きている生き物なんだ」みたいなところまで踏み込もうとしている。
そして最近まで続いたエピソード、単行本8~9巻の「フリーター君」では、両親が先物取引で
家財産を全て失ったあげくに勘当され、日雇い派遣やマンガ喫茶での寝泊りを経て
(ここらの描写はどんな雑誌や新聞のルポよりも、今の日本の現在進行形の実態を
リアルに描写してる!)、ホームレスにまで堕ち一度は死線をさまよいながら
とある事件がきっかけで家族が再び再出発するところまでが描かれているのだが、
この極限状態を生きていく中で、このエピソードの主人公(ニートでパチスロ狂い)が
人間的に成長していく姿の描写は感動的ですらある。そして最新巻10巻では
更に作品は進化している。これまではギャンブル狂いなど、なにかしらいびつな部分が
ある人物が出てくるのだが、この「サラリーマンくん」のエピソードの主人公、医療機器メーカの
営業マン、小堀はキャラ的には至ってノーマル。しかしながら家族や仕事の環境には、
現代日本の疲弊しきった実態が実にリアルに織り込まれていいる。このエピソードは
まだ主人公が金すら借りていないのだが、その読み応えたるやものすごい重量感だ。
これからどうなっていくのか展開から目が離せない。
とにかくこのマンガは、全社会人、全学生、全人類必読の書である。この作品は21世
紀のドストエフスキー「罪と罰」だ! とカッコよく締めたいところだが「罪と罰」を読んでない
ので、この作品は平成の「ナニワ金融道」だ!くらいにしておこう。

「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中。

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笠辺哲 「フライングガール」 「笠辺哲短編マンガ集 バニーズほか」
2006/07/02(Sun)
「マンガなんか一分の足しにもならん!本を読め本を!」
ってな厳格な父親だったので、子どもの頃はろくすっぽ、
コロコロもジャンプも読ませてもらえなかった。
なんせ土曜の8時から、ドリフやひょうきん族も見せてもらえず、
父親と一緒に、NHKの大河ドラマを見てたくらいである。
中学・高校ごろからその反動で、一気にマンガ漬けになり、
大学では落研に入り、ことごとく親の期待に沿っていない。
いつしか私も2児の父ですが、だから自分の子供には、あまり変に期待をしたりしないように
注意しています。落研に入るとか言い出したら困るので。

そんなこんなでもう35歳だが、ひょんなことから知った注目の作家を紹介したい。
月間IKKIで「フライングガール」連載中の、笠辺哲だ。
絵柄を見てもらっても分かるとおり、昔の「ガロ」とかに連載してそうな素朴な感じ。
売るためのマーケティングとか全くしてなさそうな、才能のある高校生の落書きみたいな絵。
絵のウマさだったら同人系の素人のほうがよっぽどうまいだろう。

この人の凄いところはアイデア、それも、他の誰にも関連した様子がない
オリジナルな発想のアイデアを作品に盛り込めるところだ。
この人の市販されている作品は、この「フライングガール」と
「笠辺哲短編集 バニーズほか」の2つしかないが、このたった2冊だけでも、SFよりの、しかもマンガとして形となって楽しいアイデアに満ち溢れている。昨今の、変に教訓じみてたり、やたら残虐だったりするマンガとは、まったく違う文脈で描かれる作品たち。
とにかくマンガ好き、かつてマンガ好きだった人たち全てに推薦。買って読め。

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