Playback 2011 Review
2011/12/31(Sat)
(このエントリーは年内、最上段に表示します)

こないだのエントリーで口上を申し上げました、極私的年間回顧CD「Playback2011」が
やっとこさ出来上がりました!今年の収録曲は8曲。聴いて頂ける方に差し上げてますので、お気軽に
お声かけ下さい。去年まで送ってる方には勝手に送りつけます。鍋敷にもなりますが、溶けます。

では簡単にレビューを。




1.ねごと「カロン」

カロン 1_R


2010年デビューの女子4人バンド、ねごと。チャットモンチー的なオルタナ風味付けもさることながら、この曲の白眉は、サビの「君に合えるのォォォ」の「ォォォ」の部分のラウドネスである。ここが出せるか出せないかで、凡百のギャルバンとメジャーの差が出るのだ。この勢いを今後どう持続させられるか見もの。2011年3月リリース。au「LISMO」タイアップ。




2.サカナクション「アイデンティティ」

DocumentaLy 1_R


自分にはアイデンティティが無い、そもそもアイデンティティって何だ。世界共通の若者の悩みに、真っ向から切り込む快作。サカナクション、「ナイトフィッシング」の頃に比べると、青白い文系男子的なひ弱さから脱却し、ずいぶん逞しくなった。トップランナーの気概がサウンドの隅々に及んでいて頼もしい。「『バッハの旋律を夜に聞いたせいです。』」もいい。2011年のアルバム「Documentary」に収録の3rdシングル。




3.女王蜂「デスコ」

孔雀 1_R


ロックンロールがまだ反社会的な意義を持っていた時代、ファッションはその精神性を表していた。最初はリーゼントに革ジャンで十分反抗的だったけど、グラムロックあたりから、見てくれとかパフォーマンスが、ある意味目的化してしまい、商業化とあいまってロックンロールは次第に攻撃性をスポイルされていく。日本でも、独自に各種ビジュアル系ロックが、栄枯盛衰を繰り返しながら生き続けているが、女王蜂はアングラ寄りの時代の仇花とでも言いたくなる、「歪んだ形の最新モデル」を提示してきた。「間違った未来のロック」と形容したい異形。2011年のデビューアルバム「孔雀」より。




4.Lenka「The Show」

Lenka 1_R


時々、こういう甘い砂糖菓子のようなポップスを聴きたくなります。くしくも、今冬公開の映画「マネーボール」で、ブラッド・ピット演じる主人公ビリー・ビーンの娘、ケイシーが、ギターショップではにかみながら歌うのがこの曲。
しかし釈然としないことがある。この映画は、2000~2年頃の大リーグ・アスレチックスを舞台としているのだが、この曲の収録されているlenkaのデビューアルバム「lenka」のリリースは、2008年なのである。レンカ自身、この曲はカバーなのだろうか?それとも映画はその辺の整合は無視したのだろうか?ご存知の方が居られたら教えてほしい。




5.秦基博「エイリアンズ[live]」

Documentary [Disc 2] 1_R


人は一人で生まれ、一人で死んでいく。皆、この星の片隅で生きる孤独なエイリアンなのだ。だからこそ、その死ぬまでの過程で、何かしらの温もりを求めずにはいられない。「エイリアンズ」は、そういうことを再認識させてくれる「心の沐浴」のような曲である。キリンジの名曲を秦基博がカバー。2010年のアルバム「Documentary」のおまけディスク、カバー曲集に収録。




6.Lady Gaga 「You and I (Live at Amp Radio)」

You and I (Live at Amp Radio) 1_R


今年稼ぎまくったガガ姐さん、ミュージシャンである事を、ともすると忘れてしまいそうになるが、このピアノ一丁で歌い上げる「You and I 」で、世界トップランナーの実力をうかがい知ることができる。「ベイビー死んだほうがまし、あなたとあたしじゃないなら」と言うサビを、全世界の、あらゆる「つがい」に捧げたい。
この曲は音源がyoutubeなので、音声だけ切り出し、mp3ファイルに変換して収録しました。地味に手間かけてます。そしてジャケ写真も当然ないので、来日時の姿を収録。




7.くるり「東京」

ベスト オブ くるり Tower Of Music Lover [Disc 2] 1_R


東京という街は、ものすごく人がたくさん居る割に、ものすごく淋しい街である。この雑踏が全員他人かと思うと、目眩がするほどの孤独感に苛まされる。そしてこの街が特徴的なのは、全員が全員、「ここに居たいと思って居るとは限らない」街であることである。
 くるりの「東京」は、「東京に居る自分」から、「東京に居ないあなた」へ向け歌われる曲である。そして血のにじむような思慕が内奥に隠された曲である。何でもなさそうな顔をして、この街に住む人たちは故郷、家族、恋人と必死につながりを求めながら、うまく思いを伝えられないもどかしさに発狂しそうになりながら生きているのである。
 単身赴任3年目、ふとしたことで再聴し、歌詞全センテンスにわたって自分とシンクロしてしまい、帰り道で崩れ落ちそうになった曲。それ以来、気がふれそうになりながらも聴き続けている。くるり、1998年のデビュー曲。




8.倉橋ヨエコ「今日も雨」

終楽章 コンプリート ベスト2000~2008 [Disc 2] 1_R


街にはやさしい歌やメッセージが溢れている。大丈夫、きみ一人じゃない。きずなを信じよう。しかし表面だけ優しい音楽は、結局何も癒してくれない。下手なマッサージにかかると翌日「もみ戻し」がひどいように、中途半端な励まし方をされると、余計にへこむのは自分だけではないはずだ。
その点、この「今日も雨」の覚悟の決め方はハンパではない。タイトルからして「今日『も』雨」である。オラなに泣いてんだよ、とっとと走り出せよ。誰も待ってねえけどとにかく行くんだよ。天気なんか気にしてんじゃねえよ。外どしゃ降りだよ。そんな調子で雷雨の中、新兵のケツを蹴り上げて、ハーネスの確認もしてないのにパラシュート降下させる鬼司令官のような歌詞。しかしそこには「外、豪雨。敵多数。応援、来ず。それでは出撃する」という天晴れな気概に満ちており、清清しささえ感じさせる。厳しい現実から目を背けず、すっくと立ち上がらせる効力を持つ、ヌラヌラとした外分泌にまみれた鈍器のようなこの曲は、「生きづらさ」に対する最強のプロテスト・ソングである。








この記事のURL | playback20XX | CM(9) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ